【4月23日 AFP】化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical WeaponsOPCW)は22日、シリアが保有する化学兵器の86.5%が国外に搬出されたと発表した。シリアの化学兵器をめぐっては、今月反体制派の拠点が工業化学物質で攻撃されたという情報が浮上している。

 昨年8月にダマスカス(Damascus)郊外で化学兵器が使用され数百人が死亡したことを受けて米露が仲介した結果、今年6月30日までにシリアの化学兵器を全廃することで関係国が合意に達し、米国の対シリア軍事行動は回避された。欧米諸国はバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権による攻撃と断じたが、同政権側は反体制派の仕業だと主張していた。

 OPCWは声明で、新たな化学物質が22日にシリアのラタキア(Latakia)港に到着し、これで「シリアから撤去された化学物質は全体の86.5%になった」と発表した。OPCWのアフメト・ウズムジュ(Ahmet Uzumcu)事務局長は、「今年半ばと定められているシリアの化学兵器全廃期限に間に合うよう破壊作業を進めるため、残る2~3回の搬出分が迅速に搬送されることを期待している」と話した。

 しかしフランスと米国は、反体制派が掌握しているシリア中部ハマ(Hama)県で今月、アサド氏率いる政府軍が工業化学物質を使用したという情報を得たと発表しており、ウズムジュ氏の発言に影を落としている。

 先にシリアは、内戦が3年以上続いているにもかかわらず6月3日に大統領選を実施する計画を明らかにしたばかり。アサド氏の再選が有力視されており、国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)は和平交渉努力に悪影響を与えかねないと警告している。(c)AFP