【4月22日 MODE PRESS】パリ6区、ギャラリーが建ち並ぶボナパルト通りにオープンした「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(Officine Universelle Buly)」は、店内に足を踏み入れるだけで、19世紀のフランスにタイムスリップできる。

 同店の仕掛け人は、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(Victoire de Taillac)とラムダン・トゥアミ(Ramdane Touhami)夫妻。元コレットのPR担当で、昨年ビューティ雑誌「コルピュス(Corpus)」を創刊したパリ美容界の重鎮であるヴィクトワールと、ファッション界で数多くのブランドのデザインを手がけ、ルイ14世の時代から続く蝋燭ブランド「シール・トリュドン(Cire Trudon)」を見事21世紀に復活させた凄腕アートディレクターでもあるラムダン。そんな最強コンビが注目したのは、1803年創業の香水と化粧品のブランド「ビュリー(Buly)」だった。

 「古い文献やカタログを読みあさり、15世紀から19世紀の薬局130店の中から『ビュリー』を選びました。ローション、ヴィネガー、石鹸、クリーム、ポマード、香水など、その数百種類ある商品群の多さに驚き、全て天然成分の商品だったことが決め手となりました」とランダム。

 3年の構想を経て実現したブティックは、当時の薬局を彷彿とさせる重厚な大理石のカウンターと、楠の木の滑らかな曲線を描く棚、ペイントを施した天井からイタリアンタイルの床に至るまで徹底的なランダムの美学を感じさせる。

 商品は当時の単なる復刻ではなく、全く新しいフォーミュラを開発した。「肌を乾燥させる刺激の強いアルコールとグリセリンを一切使用しない、8種類のウォーターベースの香水を開発しました」とヴィクトワール。更に火を付けると豊かな香りがするポエティックなマッチも発表。その他、肌トラブルの万能薬ポマードやローズローション、歯磨き粉からボディーミルクまで、原料と使用感に拘りながら「香り」をテーマに構成されている。

 オリジナル商品以外にも、インド、ブラジル、アマゾン、日本など各地から集められた植物性オイルや、ゴマージュやマスクに使用するパウダー、お香の原料などが量り売りされているのもうれしい。そして店内の所々には日本の美顔器や月桃油、そして350ユーロもするツゲの櫛が無造作に置かれている。そんな好奇心溢れるブティックは、21世紀のビュリーの復活にふさわしい、世界中の美の秘訣が詰まった新感覚のコンセプトストアなのだ。【須山佳子】

【店舗概要】
Officine Universelle Buly
6, rue Bonaparte 75006 Paris
Tel.01 43 29 02 50 Fax.01 43 29 02 50
営)10:00~19:00
休)日曜
www.buly1803.com
(c)MODE PRESS