【4月22日 AFP】記章をすべてはぎとったおそろいの迷彩服に身を包み、高度に武装したこの覆面集団は、強靭で寡黙、そして戦術的破壊力を持ち合わせている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領いわく、この集団は、ロシア軍の精鋭兵からなる特殊部隊では決して、絶対にない。

 それでは、ウクライナ東部に展開し、現地の多くの人が「緑の小人たち」と呼ぶこの謎の軍事または準軍事部隊のメンバーらは、いったい何者なのだろうか。

 ウクライナ暫定政権とそれを支援する欧米諸国にとって、電光石火のごとく組織だった編成で動くこの武装集団は、プーチン氏がどう言おうと、紛れもなく露政府が災いの種をまくために送り込んだロシア軍部隊だ。先月ロシアによる併合の前にクリミア(Crimea)半島に展開していた武装勢力ともそっくりだ。

 一方、ウクライナからの分離を掲げる同国の親ロシア派に言わせれば、この集団は地元の有志が集まって生まれた「自衛志願部隊」の、特異なほどに優れた例にすぎない。

 暫定政権に対する抵抗勢力が掌握している同国東部の10市町の多くでは、この強面の武装集団が占拠した自治体庁舎などに詰めて警戒しているが、好奇心を持った者が彼らに話しかけても、返答はほとんど得られない。

 しかし、統制が緩い他の武装グループとは、容易に区別がつく。迷彩服、黒い目出し帽、スニーカー、防弾チョッキ──こうした装備は、彼らよりも誇らしげに口を開くことが多い普通の分離派の男たちが使用する軍の払い下げ品や、アウトドア製品の寄せ集めとは程遠いからだ。

 今月16日、東部の抵抗勢力鎮圧のためにウクライナ軍が装甲車部隊を派遣した際、地元住民が進路を遮った車両を瞬時のうちに奪取し、スラビャンスク(Slavyansk)に持ち去ったのは、この(そう小さくはない)「緑の小人たち」だった。同日、さらに別の装甲車部隊が住民たちに制止され、武装解除に合意させられた際にも、このプロフェッショナル集団のメンバー3人が前に進み出て、住民たちに道を開けるよう命じ、閲兵場にふさわしいほどの整然とした撤退を装甲車部隊に許した。