■精神的に追い詰められた被害者

 加害者が誰か分からないネットいじめに苦しんだ末のトッドさんの自殺は、カナダにとどまらず世界各国で「ネット上での適切な行動」に関する大きな論争を呼び、ネットいじめを犯罪化すべきとの声も上がった。

 トッドさんが制作し、動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿した動画は数百万回も視聴された。この動画の中でトッドさんは、言葉を書いた紙を1枚ずつ見せて、自分自身の「終わらない物語」を語った。

 見知らぬ相手とのビデオチャットで一瞬だけ見せた自分の乳房の画像がカナダ西部ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州の当時の自宅周辺にばらまかれて以降、不安神経症、「ひどいうつ状態」、パニック障害に苦しむようになったという。

 トッドさんは、家に引きこもって薬物やアルコールに依存するようになり、「毎晩泣き明かした」ことを明かした。騒動のため友人をなくし、脅迫から逃れるため転校を余儀なくされ、ある男性が原因で他の生徒たちの目の前で校庭で暴行を受けたことを嘆き、「私には誰もいない。誰かが必要だ」と訴えた。

 何度かの自殺未遂の末、この動画をユーチューブに投稿した後、トッドさんは自ら命を絶った。(c)AFP