【4月18日 AFP】昼間は、控えめな化粧にコンサバな髪形、どんな人混みの中でも決して目立つことのない、物腰柔らかなOL。だが夜になると、頭のてっぺんからつま先まで、そして両目さえもぴっちりと覆う全身タイツに身を包み、バーで一人座る。こうすることで、自分が他人にどう思われているかという心配から解放されるのだという。

「飲食ができないというのも心地よい要素」。口を覆う光沢のある赤い布地をわずかに上下させながら、「北極2号」と名乗るこの女性は語った。

「これまで他人からの視線を強く気にして生活してきた。周りの人が私の外見を見た時に、かわいいね、優しそうだね、子どもっぽいね、ばかそうだね、そういういろいろな印象をみんなが私に言ってくる」

「そういう印象に自分がとらわれてしまって息苦しさを感じていた。でも全身タイツを着ているとただの『タイツを着ている人』になれる」

 北極2号さんは、全身タイツ、略して「ゼンタイ」フェチを持つ約10人が集まった「トウキョウゼンタイクラブ(Tokyo Zentai Club)」に所属している。同クラブは、一般的な同好会と同じように、月に1回集まってはバーベキューやパーティーを楽しんでいる。

 交際相手のポポさん(25)から同クラブを紹介されたハナカさん(22)は、「小さいときからヒーローとかぴったりしたスーツを着ている人を見て、なんだろうなという感じはあった」と語る。

「13歳か14歳くらいのとき、自分で作ってしまおうと思った。とりあえず自分の使い古したタイツとかそういうものを使って縫ってみようと。でもちょっと自分がおかしいんじゃないかなって思って途中でやめてしまった」

「ネットで全身タイツを着る人たちがいると知って、『こういう人たちがいるんだ、よかった!』って」と、同クラブとの出会いの喜びを語ったハナカさん。同クラブのイベントには必ずポポさんと一緒に参加している。