【4月18日 AFP】韓国沖で16日朝に旅客船セウォル(Sewol)号が沈没した事故は、17日も300人近い行方不明者の必死の捜索が続けられた。時の経過につれ生存者発見の可能性が徐々に低くなる中、激怒した不明者の親族らは視察に訪れた朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領に詰め寄った。

 高波を押して続けられている救出活動で複数の遺体が収容され、海洋警察は17日遅く、25人の死亡を確認したと発表した。

 天候の悪化で、陰鬱(いんうつ)な雰囲気はさらに落ち込んでいる。現場海域では雨が降り続いて波も荒く、視界が悪く潮流が強いため、難航していた潜水救助活動はさらに困難を極めている。

 複数階を備えたセウォル号には475人が乗船していた。このうち375人は、引率の教師らと共に人気観光地の済州(Jeju)島に向かっていた高校生だった。同船は突然傾き、それから90分ほどの間に転覆・沈没した。海洋警察はこれまでに179人を救助したとしているが、271人が依然行方不明になっている。

 ある海洋警察当局者はAFP記者に対し、「正直な話、生存者発見の可能性はゼロに近いと思う」と漏らしたという。

 現在海洋警察は救出活動に、ダイバー500人以上、船舶169隻、航空機29機を動員していると伝えているが、現場に近い珍島(Jindo island)の体育館に集まっている不明者の親族らはそれで納得するはずもなく、活動規模をさらに拡大すべきだと訴えている。そしてその怒りの矛先は、救助活動を視察に訪れた朴大統領に向けられた。

 神経をとがらせた警備担当者らがそばで見守る中、同大統領が演説を行おうとすると、ある女性は「人が死のうとしている時に何をしているんですか?時間は過ぎる一方なんですよ!」と叫んだ。(c)AFP/Park Chan-Kyong