【4月17日 AFP】韓国の南西部沖で旅客船セウォル(Sewol)号が沈没した事故で17日、沈みゆく船内から高校生たちが家族に送った悲痛な携帯メールの内容が明らかになり、韓国全土に悲しみが広がった。一方、船内放送で客室や座席にとどまるよう指示があったため多くの乗客が逃げ遅れたとの証言もあり、不明者の家族からは怒りの声が上がっている。

 セウォル号は16日朝、座礁した後、徐々に傾き沈没した。これまでに9人の死亡が確認されたが、依然として287人が行方不明で、そのほとんどが修学旅行の高校生たちだ。

「もう言えないかもしれないので伝えておきます。お母さん。愛しています」。セウォル号に乗っていた男子生徒の1人、シン・ヨンジンさんが携帯電話から母親に送ったメッセージの内容は、韓国メディアに大きく取り上げられた。この時、まだ息子が生死の瀬戸際にいることを知らなかった母親は、「あらまあ、私も愛してるよ」と返信した。

 幸いにもヨンジンさんは、船体が完全に沈没する前に救出された179人に入っていた。だが、全ての生徒に幸運が訪れたわけではない。 

 船体が激しく傾くなか、キム・ウンギさん(16)が兄に宛てたメールは絶望感に満ちている。「ぼくの部屋は45度も傾いてる。携帯もよくつながらない」。ウンギさんの兄は、救助隊が向かっていると返信し弟を励ました。「落ち着いて。言われた通りにしていれば大丈夫だから」

 しかし、それきりウンギさんからの返信はなかった。ウンギさんは現在も行方の分からない乗客287人に含まれている。