【4月16日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、ウクライナ情勢は内戦の危機にあると警告してから一夜明けた16日、一触即発の緊張状態にあるウクライナ東部スラビャンスク(Slavyansk)で、ロシア国旗を掲げた装甲車が市内を走る姿が確認された。

 ウクライナからの分離を掲げる同国東部の親ロシア派勢力を排除するために、ウクライナ暫定政権が部隊を送り込んで以降、緊張は高まり続けている。こうした事態を受けて17日には、ウクライナ危機をめぐり米国、ロシア、ウクライナ、欧州連合(EU)の外相級4者会合がスイス・ジュネーブ(Geneva)で開催される。

 スラビャンスクにいるAFP特派員は、少なくとも6台の装甲兵員輸送車(APC)が武装した数十人を乗せて街中を走っていくのを目撃したと述べている。中にはロシア国旗を掲げた車両もあったという。

 露メディアは、これらの車両に乗っていたのは分離派側に寝返ったウクライナ軍部隊だと報じているが、ウクライナ軍はAFPの取材に対し、自軍の装備が奪取されたという報告は何もないと答えている。

 一方、ドネツク(Donetsk)州で取材に当たっている別の特派員によると、州都ドネツクでは親ロシア派の武装集団が市長執務室に押し入った。

 各地の情勢悪化が伝わる中、ウクライナ暫定政権はロシア批判の語気をいっそう強めており、アルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)ウクライナ暫定首相は、ロシアが「新たなベルリンの壁を築こうとしている」と糾弾した。

 またウクライナ国家保安庁(SBU)は声明で、分離を掲げる同国東部の親ロシア派武装勢力に、ロシア軍司令官らが「射殺命令」を発したと述べている。(c)AFP/Nicolas MILETITCH and Max DELANY