ブヒンガーの賛同者たちは、断食療法が心臓疾患の予防やぜんそく、関節炎、慢性的な消化器疾患、一部の慢性的な呼吸器感染症、さらに抑うつにも効果があると主張している。

 だが、医療専門家らは、他の極端な生活習慣の変化と同じように断食療法も医師の監視の下で適度に実施すべきであり、将来の健康に劇的な良い影響があるとの期待を持ち過ぎないようにする必要があるとくぎを刺す。

 断食療法に関しては、多数の被験者を対象としたランダム化比較試験はほとんど行われていないものの、関節リウマチに断食療法が有効だとする論文が1991年、英医学誌ランセット(Lancet)に掲載されたほか、さまざまな健康問題にこの療法が有効だという主張する人もいる。

 ブヒンガー・ウィルヘルミのフランソワーズ・ウィルヘルミ・デ・トレド(Francoise Wilhelmi de Toledo)マネジングディレクターは、「断食療法は、身体にもともと備わっている再生力を刺激する」と話す。

「コンスタンス湖畔のユーバーリンゲン(Ueberlingen)の施設では約60年前から、マルベーリャでは40年ほど前から、毎年それぞれ3000~3500人の患者を受け入れている。つまり合併症などを引き起こすことなく25万回も断食治療が行われたということになる。これは科学的な研究ではないが、統計的な事実だ」と、同クリニックの医療部門のトップ、シュテファン・ドリンダ(Stefan Drinda)医師は話す。

 ドイツの権威あるニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は2011年、断食療法に好意的な特集記事を組んだことがあり、また同クリニックの医師だったヘルムート・ルツナー(Hellmut Luetzner)氏が書いた本は、1970年代に発売されて以来200万部以上が売れている。

 ウィルヘルミ・デ・トレド氏は「ドイツの社会が先駆けとなったおかげで、断食を異常とみなす人はもう誰もいない」と話す。