【4月16日 AFP】イタリア北部で2012年に発生し合わせて26人が死亡した2回の地震について、同国エミリア・ロマーニャ(Emilia-Romagna)州当局は15日、炭化水素資源の採掘が地震を引き起こす引き金の一つになった可能性があるとの報告書を発表し、新規掘削を禁止した。

 地震の引き金が油田やガス貯蔵施設、地熱発電所などでの掘削活動にあったのではないかとの世論の怒りの声が高まったことを受け、州当局は科学的調査を委託していた。

 報告書は、ミランドラ(Mirandola)油田の活動が地震の主な要因ではなかったが、「地震活動の引き金の一つとして起因した可能性がある」と結論づけた。

 報告書を受けて、エミリア・ロマーニャ州当局は、地震被災地域に出していた掘削活動の禁止命令を州全域に拡大することを発表した。

■採取・注入活動により断層に負荷か

 報告書によると、2012年5月20日の地震は、ミランドラ油田の1か所の「採取・注入活動の増加と統計的に相関性があった」ことが確認された。

 報告書は、採取・注入活動は「すでに大地震発生に必要な条件をほぼ満たすほどに負荷のかかっていた断層系に、さらにわずかな負荷を加え、結果として大地震の発生の一因となった可能性がある」と述べた。

 報告書は英キール大学(Keele University)のピーター・スタイルス(Peter Styles)教授(応用地球物理学)率いる国際研究チームが執筆した。

 炭化水素ガス採取に用いられる水圧破砕法(フラッキング)は、英国やカナダ、米国で発生した弱い地震との関連性が指摘されている。(c)AFP