【4月15日 AFP】宇宙で8か月間過ごした桜の種子から育った木がこの春、通常の開花年齢より何年も早く、しかも非常に驚くべき花を咲かせた。この「宇宙のミステリー」は、日本の僧侶と科学者たちを当惑させている。

 国際宇宙ステーション(International Space StationISS)で時を過ごした桜の種から育った4歳の苗木は今月1日、通常より6年も早く花を咲かせた。桜が植えられている岐阜県・願成寺(Ganjoji)の僧侶たちは、あまりの開花の早さに驚いたという。

 願成寺の住職・梶田昌宏(Masahiro Kajita)さんは「成長がとにかく早いということで私どもも驚いている」と、AFPの電話取材に語った。「もとの桜のほうは、これまで種から発芽したことがなかった。後継ぎにあたる桜が生まれてくれたので、私どもは非常に喜んでいます。樹齢1250年といわれている老木です」

 宇宙へ送られた種は、国の天然記念物に指定されている「中将姫誓願桜」から取られた265個の種子のうちの1つ。これは、国内14か所から異なる種類の桜の種を集めるプロジェクトの一環として行われた。

 種は2008年11月にISSに送られ、宇宙飛行士の若田光一(Koichi Wakata)さんと一緒に地球の周りを4100回まわった後、翌年7月に地球に戻ってきた。

 種の一部は研究所へ送られたが、大半は元の場所で植えられた。選別された一部の種は、願成寺近くの種苗場にも植えられた。

「宇宙桜」は今年4月までに高さ4メートルほどに成長し、突然9つの花を咲かせた。しかも、それぞれの花がつけた花びらの数は、誓願桜の約30枚よりもずっと少ない5枚のみだった。なお、桜の木が初めて開花するまでには、通常は10年ほどかかる。

 宇宙桜が通常より早く花を咲かせたのは、願成寺の苗木だけではない。種が植えられた14か所のうち、これまでに4か所で開花が確認されている。