【4月14日 AFP】大規模な山火事で多数の家屋に被害が出ている南米チリ中部バルパライソ(Valparaiso)は、かつて沿岸を航海する船乗りたちから「太平洋の宝石」と称賛された港湾都市で、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている。

 毎年、数万人の観光客が訪れては、繁栄を誇った19世紀半ば~20世紀初頭から残る石畳の小道や色彩豊かな家々が立ち並ぶ歴史地区の景観に驚嘆する。

 バルパライソが栄えたのは、南米大陸の最南端を回って大西洋(Atlantic Ocean)に向かう船舶の中継地としてだった。

 首都サンティアゴ(Santiago)から北西120キロの沿岸に広がる40もの丘の上に築かれた街からは、海を望む絶景が楽しめる。丘に上るケーブルカーも名物の1つで、19世紀に造られたものが現役で活躍している。

 だが、20世紀初めにパナマ運河(Panama Canal)が開通すると、バルパライソを経由する船舶は急減し、都市の繁栄も失われていった。現在、市の経済は観光頼みで、チリ国内の他都市と比べて生活水準は低い。(c)AFP