■花嫁虐待が社会問題に

 しかし、韓国国内ではその後、若い外国人妻たちが夫から殴られるなどの虐待を受けたとの報告が急増した。20歳のベトナム人花嫁が韓国に来て1週間後に精神障害を抱える夫に刺殺されるという事件も起きた。

 韓国政府は2010年、結婚相手に関して虚偽の情報を提供したり、男性1人に同時に2人以上の女性を紹介したりした結婚仲介業者に最長禁錮2年の刑を科す法律を導入。これが功を奏し、2011年に1697社あった仲介業者は、2013年末には512社にまで大きく減少した。

 今回導入した新法について韓国法務部(法務省)は、国際結婚した夫婦間トラブルの最大原因である意思疎通と低収入の2点に焦点を絞った対策だと説明。「資格のない人々が外国人花嫁を買う事態を止めるために政府の介入は避けられない」と述べている。

■新法に批判殺到

 一方、結婚仲介業者側は、新法の導入で結婚マッチング候補者が減れば、外国人花嫁を探すコストが上がるだけだと批判。さらに花嫁の語学研修費も必要となり、手数料や交通費、宿泊費などを含めて現在平均1000万ウォン(約98万円)程度の紹介費用は最大で50%も高騰すると主張している。

 また、研究者やソーシャルワーカー(社会福祉士)らは、既に様々な問題に直面している国際結婚カップルに必要なのは、より多くの支援であり、余計な負担となりかねない官僚的規制ではないと批判的だ。韓国の移民女性人権団体は、家庭内暴力の危機にさらされている外国人妻たちの保護を優先すべきだと指摘している。外国人妻たちは、まだ知人もいない韓国で警察に行くことを恐れ、夫から暴力を振るわれても届け出ない場合が多いという。

 民間のシンクタンク、韓国女性政策研究院(Korea Women's Development Institute)による2012年の調査によると、韓国では国際結婚した夫婦10組中の4組が5年以内に破局している。原因として48%が「和解しがたい不一致」を、21%が「低収入」を挙げている。(c)AFP/Lim Chang-Won