【4月9日 AFP】香港(Hong Kong)で8日にオークションに掛けられた明王朝時代の酒杯が、中国製の磁器としては史上最高値の3605万ドル(約36億7200万円)で、上海(Shanghai)の大富豪、 劉益謙(Liu Yiqian)氏によって落札された。競売を主催した競売大手サザビーズ(Sotheby's)が発表した。

 この小さな白地の磁器製の酒杯は、明朝の成化帝(在位1465~87年)の時代に作られたもので、ニワトリの一家を描いた彩色画が施されている。

 サザビーズによれば、乾隆時代のひょうたん型のつぼが2010年に記録した2億5266万香港ドル(約33億2000万円)を上回り、中国製の磁器の中では史上最高値での落札となった。

 また、明代の磁器の落札額としては、白地に青い染料で装飾が施されたつぼが2011年につけた1億6866万香港ドル(約22億1700万円)が史上最高値だったが、今回落札された酒杯はこの記録を大幅に更新した。

 サザビーズ・アジアのニコラス・チャウ(Nicolas Chow)副会長は、この酒杯を中国芸術における「聖杯」と表現。オークションの終了後に記者らに対し、「中国製磁器の歴史上、これ以上に伝説的といえる品はない。まさに神話に包まれた品だ」と述べた。

 タクシーの運転手から一代で財を成した投資家の劉氏は、現在50歳。中国でも有数の大富豪で、世界各地で芸術作品を入手している中国の新興富裕層の一員だ。(c)AFP/Aaron TAM