【4月3日 AFP】アイスランドのシグムンドゥル・グンラウグソン(Sigmundur David Gunnlaugsson)首相が、気候変動は自国の将来にとって「絶好のチャンスだ」と発言し、野党の反発を招いている。

 グンラウグソン首相は2日、国営放送RUVで「水不足が起き、エネルギーもさらに高くなり、土地も足りなくなるだろう。近い将来、食料品の値段が高騰するのはほぼ間違いない」と指摘した。その上で、「気候変動によって2050年までに勝者と敗者が生まれる」との米地理学者ローレンス・C・スミス(Laurence C. Smith)氏の予測に言及し、アイスランドは勝ち組の1つになるとの見方を示した。

「北方に、素晴らしいチャンスの扉が開こうとしている。(北極海)航路に関しても、(北極圏での)石油・天然ガスを始めとする地下資源についてもそうだが、何より食料生産の面で絶好の機会が訪れつつある」(グンラウグソン首相)

 しかし、首相のこの発言は野党の政治家らを激怒させた。

 左翼環境運動(Left-Green Movement)のカトリン・ヤコブスドッティル(Katrin Jakobsdottir)党首は、「気候変動をアイスランドの国益という偏狭な観点から捉えるのは無責任だ」と一刀両断。さらに「結局、大した機会には恵まれないかもしれない」とも付け加えた。

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」は3月31日、温室効果ガス排出量を削減する取り組みが進まなければ「深刻で、広範囲に及ぶ、取り返しのつかない影響が出る」とする報告書を発表。そのコストは物的損害や生態系の損失、異常気象対策費など数兆ドル規模に及ぶと警告している。(c)AFP