【4月3日 AFP】イタリア警察は2日、1970年代に英ロンドン(London)で盗難に遭った数十億円相当のフランス人画家ポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)の絵画を回収したと発表した。盗難画は、イタリアの工場従業員がわずかな金額で購入し、40年近く自宅の台所に飾っていたという。

 ゴーギャンの「Fruits sur une table ou nature au petit chien(テーブルの上の果物、または静物と小さな犬)」は、同じく仏画家のピエール・ボナール(Pierre Bonnard)の絵画「La femme aux deux fauteuils(女性と椅子2脚)」と共にロンドの住宅から盗まれていたが、両作品ともに、イタリア自動車大手フィアット(Fiat)の元従業員で現在は年金暮らしをしている男性の自宅で発見された。

 同日に記者会見した警察によると、ゴーギャンの作品は1000万~3000万ユーロ(約14億3000万~43億円)、ボナールの作品は約60万ユーロ(約8600万円)の価値があるとみられる。

 2作品はいずれも、イタリアの鉄道駅で拾得物として届けられた後、1975年に競売にかけられ、フィアットの従業員だった男性が4万5000リラ、現在の価格で23ユーロ(約3300円)で落札していた。

 これらの作品が発見されたのは先月のことで、男性の息子から盗難作品ではないかとの連絡が警察にあったことがきっかけだった。

 イタリア国内の報道によると、息子はシチリア(Sicily)島のシラクサ(Siracusa)に住む建築学科の学生で、父親が所有していたこれらの絵画の鑑定を専門家に依頼した後、警察に通報していた。(c)AFP/Laure BRUMONT