【4月2日 AFP】ヘビ皮を使った高級レザー製品の需要が欧州で高まっているのを受け、欧州市場に違法に輸入されるニシキヘビの皮が年間で推計10億ドル(約1000億円)相当に上っているとする報告書が発表された。

 報告書を発表したのは、国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)と、高級ファッションブランドのグッチ(Gucci)を所有するケリング(Kering)が後援する保護団体「ニシキヘビ保護パートナーシップ(Python Conservation Partnership)」。報告書によると、欧州のファッションブランド用などに毎年50万枚のヘビ皮が、東南アジアから欧州に闇市場経由で輸入されているという。

 野生のニシキヘビの個体数は、ハンドバッグや靴、ジャケットにヘビ皮を使う大手ブランドからの需要の高まりで減少している。一方でニシキヘビの飼育は、成体になるまで時間がかかりすぎることや飼育下での餌やりと繁殖が困難であることから、採算が合わないとされてきた。

 だが報告書は、ニシキヘビの商用飼育こそが解決策だと提案している。

■ニシキヘビの飼育を提案

 報告書によるとニシキヘビの商用飼育はすでに中国やタイで実践されており、ベトナムでも多少行われているものの、アジア産の網模様を持ったニシキヘビとビルマニシキヘビの最大の供給国であるインドネシアとマレーシアでは今もなお野生のニシキヘビが捕獲されている。

 また報告書は、ラオスやカンボジア、インドネシア、マレーシアの飼育場を原産地と主張するヘビ皮についても、これらの国でヘビ皮の産地偽装が横行していることから「取り扱いに注意すべき」だと指摘。皮が実際に飼育されたものなのか野生のヘビからとられたものなのかを判別するために、DNA検査や同位体検査を実施するべきだと提案した。(c)AFP