【4月1日 AFP】フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は3月31日、前日の30日に行われた地方選で自らが率いる左派与党・社会党が屈辱的な大敗を喫したことを受けて、ジャンマルク・エロー(Jean-Marc Ayrault)首相に代えて現内相で高い人気を誇るマニュエル・バルス(Manuel Valls)内相(51)を新首相に任命することを明らかにした。

 オランド氏は全国向けにテレビ放送された演説でこの首相交代を確認した。オランド氏にとって2012年の大統領就任後、初の試金石となった今回の地方選では、150以上の市町村で右派または極右政党が勝利し、社会党は歴史的な大惨敗を喫した。

 オランド氏は、「選挙では、国民が不満と失望を表明した。私は国民のメッセージを聞き取った、それははっきりしている」と述べ、有権者が重税と記録的な失業率にしびれを切らしていることを認めた。

 さらに、オランド氏は「責任協定」と呼ばれる企業支援策をバルス氏が推進していくことも明らかにした。同政策は、社会党内の左派から批判を受けている。一方で、国の経費削減分でまかなえるのであれば、教育と保健への支出を増やし、所得税と給与税を引き下げる措置を含む新たな「連帯協定」とのバランスを取っていく方針も明らかにした。

■支持率は高いが賛否が分かれるバルス氏

 スペイン・バルセロナ(Barcelona)生まれのバルス氏は容姿端麗な政治家で、オランド政権では一貫して最も高い人気を集め、オランド氏なら夢でしか見られないほどの高い支持率を誇っている。

 2度の結婚を経て4人の子を持つバルス氏は、2012年の大統領選ではオランド氏の広報責任者を務め、個人的にも大統領に近い人物とされる。しかし週35時間労働制といった同国特有の政策への批判や、治安面での強硬姿勢から、自らが所属する社会党左派にはバルス氏の資質を疑問視する人も多い。(c)AFP/Angus MACKINNON