【3月31日 AFP】長引く世界的な不況は、笑いのスペシャリストであるピエロたちにも厳しい現実を突きつけている──29日に閉幕した世界ピエロ協会(World Clown Association)の年次総会で、全世界のピエロの数がこの10年、減少の一途をだどっていることが報告された。

 米シカゴ(Chicago)郊外で開かれた総会には世界から230人以上のピエロたちが集まり、お互いに技術を披露したり、次世代のピエロを育成すべく、各種セミナーが開かれた。

「ピエロ」はもはや生計を立てるための職業というより、笑いという愛を与える芸術になっているという。

「フルタイムでピエロをやっている人はもうほとんどいない」と、カナダのウィニペグ(Winnipeg)から参加したピエロ歴18年で世界ピエロ協会代表のディアンナ・ハートマイアー(Deanna Hartmier)氏は述べる。「10年間、クリスマスパーティーのために毎年12人のピエロを雇っていた大企業が突然の予算削減にあった。結果、どうなったと思う? 雇われるピエロの数が減った」

 世界ピエロ協会には、約2500人が所属しているが、2004年以降、メンバーの数は3割ほど減少している。また所属するピエロの多くが40歳以上と高齢だ。

 英サウスポート(Southport)出身のアーサー・ペドラーさん(81)も協会に所属する一人だ。ペドラーさんは、1938年からピエロ一筋でやってきた。

 バーコー(Vercoe)のステージネームを持つペドラーさんは、ほかのピエロたちとは違い、子供のパーティーでパフォーマンスをすることはない。主にサイレントコメディーに出演し、一輪車に乗ったり楽器を演奏したりすることも多い。観客は聴覚障害者や高齢者などだ。