【3月30日 AFP】スロバキアで29日、大統領選の決選投票が行われ、富豪で慈善活動家のアンドレイ・キスカ(Andrej Kiska)氏(51)がロベルト・フィツォ(Robert Fico)首相(49)を破って勝利した。

 選挙管理委員会によると、開票率99%時点の得票率はキスカ氏が59.4%、フィツォ氏が40.6%。キスカ氏は現大統領の2期目の任期が終わる6月15日に大統領に就任する。フィツォ氏は首相にとどまる。

 スロバキアで共産党での活動経験がない大統領が誕生するのは、同国がチェコスロバキアから分離独立した1993年以降で初めて。キスカ氏は、5年間の任期中に受け取る大統領の給与を全て慈善活動に寄付すると表明しているが、これも前例がない。

 キスカ氏は1990年に米国に移り、生活のため建設現場や小売業で長時間の労働に従事した。このことが貴重な経験になったという。1992年に帰国し、消費ブームの中で設立した消費者金融会社2社が成功した。

 会社の株式を2005年にイタリア系の銀行に売却。そうして得た資金で、死期の近い子どもを支援する慈善団体「Dobry Anjel」(良き天使)を設立した。この団体はスロバキア最大の慈善団体になっている。キスカ氏は2度結婚しており、4人の子どもがいる。