【3月27日 AFP】建築界で最も権威があるとされるプリツカー賞(Pritzker Architecture Prize)の2014年の受賞者に選ばれた坂茂(Shigeru Ban)氏(56)が25日、AFPの電話取材に応え、自身は受賞にふさわしいとは感じておらず、「そういったレベルにはまだ達していない」と述べた。また、この度の受賞については、活動への「激励」として受け止めているとした。

 難民や被災者のための仮設住宅の建設で、現地で調達できる「紙管」を使用した取り組みが、同賞を主宰する米ハイアット財団(Hyatt Foundation)に評価された。

 坂氏は、2011年の大地震で被災したニュージーランド・クライストチャーチ(Christchurch)での「紙の大聖堂」や、同年の東日本大震災の仮設住宅などで知られる。

 坂氏はこれまで20年間、被災地での支援活動で、低コストながら立派な住宅の設計に携わってきた。1995年の阪神・淡路大震災がきっかけで建築家の社会的責任を認識したという。「避難民が置かれている状況に衝撃を受けた。支援したかった」と語った。

 ニューヨーク(New York)、東京(Tokyo)、パリ(Paris)に事務所を持つ坂氏は、フランス北東部メッス(Metz)のポンピドー・センター・メッス(Centre Pompidou-Metz)の設計も手掛けた同氏だが、日本の環境の方が活動しやすいと感じたという。「フランスは難しかった。口論しなければならないなど文化の違いに直面した」と明かした。

 坂氏はこのほか、スイスのメディアグループ「タメディア(Tamedia)」の木造7階建て本社ビルの設計も担当。構造材に木材を使用し、接合部分にも金属部品を使っていない。(c)AFP