【3月27日 AFP】クリミア(Crimea)問題で米国とロシアの対立が続く中、両国の宇宙飛行士たちは地球から遠く離れた場所で協力関係を保っている──。

 国際宇宙ステーション(International Space StationISS)に詳しい専門家らは、米露間で政治的・経済的な緊張が高まったとしても、現状では宇宙空間における協力関係に問題はないとしている。もし影響が及んだ場合、両国にとって大きな痛手となるためだ。

 地球から高度400キロの軌道を周回している国際宇宙ステーション内部では、両国の宇宙飛行士らが至近距離で生活・作業しており、お互いに政治について語ることもタブーではない。

「私たちは何でも話すことができた。政治についてもだ」と、米国人も元宇宙飛行士リロイ・チアオ(Leroy Chiao)氏は語る。同氏は2004年~2005年にかけて半年間、ISSのリーダーを務めた。「(両国間で起きていることについて)クルーたちは話しているに違いない。もちろん、フレンドリーな会話だ」

 両国の宇宙飛行士らは、それぞれ専用のトイレと空調システムを使っている。だが数多くの複雑なオペレーションに双方の協力なしで臨むことは不可能だ。それはISSでも地球の管制センターでも同じだ。

 ISSをめぐっては、ヒューストン(Houston)の米航空宇宙局(NASA)がミッションを主導し、米政府が運営コストの多くを負担している。

 アメリカン大学(American University)で宇宙政策を専門とするハワード・マカーディ(Howard McCurdy)氏は、ISS内の雰囲気について「幸せな結婚生活」とは程遠いものと説明する。「離婚したカップルが同じ家に住もうと努力しているようなもの。可能ではあるが、簡単ではない。家主が2人いるようなものなのだから」