【3月26日 AFP】欧米諸国では健康ブームから大人気の「ギリシャヨーグルト」。だが本国ギリシャで、その名を聞いたことがある人はほとんどいない。商品のマーケティングに巨額の資金が投じられる現代でありながら、「ギリシャヨーグルト」という名称は偶然の産物で生まれたものだという。

「外国で『ギリシャヨーグルト』として知られているものは、ギリシャでは『ストラギスト』(水切りしたもの)と呼ばれている」と、アテネ(Athens)郊外でチーズを製造するプロコピス・プロムビス(Prokopis Ploumbis)氏は説明する。

 ギリシャ独特のヨーグルトの秘密は「ミルクにある」とプロムビス氏はいう。牛乳から作るギリシャヨーグルトは、クリーミーでタンパク質が豊富な一方、脂肪分は少ない。このため、健康意識の高い消費者の間で評価が高まっている。欧米で地中海式ダイエットの人気が広がっていることも、ギリシャヨーグルトに味方した。

 一方、マーケティングの観点では、ギリシャ政府からも同国企業からも「ギリシャヨーグルト」の名称を登録しようとの動きはなかった。その名称が欧州連合(EU)の保護対象となったフェタチーズとは対照的だ。

 そもそもギリシャ国内で使われていない「ギリシャヨーグルト」という名称について、保護の必要性を認める裁判所もなかっただろう。

 「ギリシャヨーグルト」の名称は、こうした理由で自由に使える状況となっているのだ。