【3月24日 AFP】ケニア議会は前週20日、女性議員らが憤怒し議場を後にする中、男性が希望するだけ多くの女性と結婚することを認める法案を可決した。

 21日の報道によると、現行の結婚に関する法律を改定し、複婚に関する慣習法を正式に法制化した。最初に提出された改定案は、妻に夫の選択を拒否できる権利を付与していたが、男性議員らが超党派でこの条項の削除を推進した。

 首都ナイロビ(Nairobi)のラジオ局、キャピタルFM(Capital FM)によれば、ジュネット・モハメド(Junet Mohammed)議員は議会で「アフリカ女性と結婚するとき、その女性は第2の妻、第3の妻がやって来るつもりでいなければならない。それが、アフリカだ」と述べた。

 アフリカの多くの地域と同様、ケニアでも伝統的な地域社会やイスラム教徒の社会では、一夫多妻制は一般的で、一夫多妻婚の比率は人口の5分の1を占めている。

 現地紙デーリー・ネーション(Daily Nation)によると、ケニアの公正法務委員会のサミュエル・チェプコンガ(Samuel Chepkong'a)委員長は「男性が女性を連れて家に帰れば、第2、第3の妻とみなされる。慣習法の下では自分の妻に、第2、第3の妻を連れて帰ることを知らせる必要はない。連れて帰った女性はみんな妻だ」と語った。

 議会多数派の指導者でイスラム教徒のアデン・デュアレ(Aden Duale)議員は、一夫多妻制はイスラム教の信仰の一部だが「キリスト教徒の兄弟たちにも旧約聖書を見てほしい。ダビデ王(King David)やソロモン王(King Solomon)は、第2の妻と結婚するのに誰にも相談などしていない」と聖書の逸話を引用し、キリスト教徒であっても妻に断らずに第2の妻を迎えられることを正当化した。

 深夜の審議で激論が交わされた後、女性議員らは憤激し、議場を後にした。キャピタルFMによると、女性議員のソイパン・チュヤ(Soipan Tuya)氏は議会で「男性たちが、言葉による女性の反撃を何よりも恐れていることを、私たちは分かっている」と述べた上で「けれど結局は、あなたがたが家長であれば、他の相手──それが2人でも3人でも──を連れてくる。であれば、せめて妻や子どもたちにそれを知らせることに同意するのは、男性としての義務だ」と主張した。

 ケニアでは女性の複婚は認められていない。今後、法案の成立には大統領の署名が必要とされる。(c)AFP/Peter MARTELL