【3月21日 AFP】スペイン領カナリア(Canary)諸島の最少の島、エル・イエロ(El Hierro)島では今年後半、風力・水力混合発電所の運転開始により、世界初の再生可能エネルギーによる全電力供給の実現が期待されているという。発電所プロジェクトの広報担当者が20日、明らかにした。

 広報担当のクリスティナ・モラレス(Cristina Morales)氏はAFPの取材に、アフリカ大陸の大西洋岸沖のエル・イエロ島にあるゴロナ・デ・ビエント(Gorona de Viento)発電所は6月に運転を開始する予定だと話した。

「同発電所は電力システムに導入するエネルギー量を徐々に増やし、順調に行けば年末までに(同島の住民1万1000人が使用する電力の)100%に到達できるだろう」

 1つは風力でもう1つは水流で作動する2基のタービンの最大発電量はそれぞれ11.5メガワットで、同島でピーク時に使用される全電力量の8メガワットを大きく上回る。

 100%再生可能エネルギー化のシステムをテストするには、面積278平方キロの火山島、エル・イエロは「非常に小さいので、理想的な場所だ」とモラレス氏は付け加えた。

 発電所の建設費用は8000万ユーロ(約113億円)で、モラレス氏によると、同島の自治体はこの安価な再生可能エネルギーを利用することで、今後20年で元が取れると期待しているという。

 また同島は、二酸化炭素(CO2)排出量を1万8700トン、ディーゼル燃料消費量を6000トン削減することも見込んでいる。

 発電所の所有権については、同島の行政当局が6割、イタリア電力大手エネル(Enel)傘下のスペイン電力会社エンデサ(Endesa)が3割、地元の技術研究所が1割をそれぞれ保有している。(c)AFP