【3月20日 AFP】1998年にアジア金融危機に見舞われてから初めて、中国が国内総生産(GDP)成長率の政府目標を達成できない可能性がある。AFPがこのほどにまとめたアナリスト対象の調査では、2014年1~2月の弱い内容の経済統計を受け、同国経済成長率見通しの下方修正が相次いだ。

 中国当局が13日発表した統計によると、14年1~2月の鉱工業生産は前年同期比8.6%増と、5年ぶりの低い伸びとなった。小売売上高も11年2月以来の小幅な伸びとなり、都市部固定資産投資は17.9%増にとどまった。

 中国の李克強(Li Keqiang)首相は、13日に閉幕した全国人民代表大会(National Peoples Congress、全人代、国会に相当)で、今年の経済成長率の目標を7.5%前後と表明。12年と13年の成長率は7.7%と1999年(7.6%)以来の低水準だった。

 みずほ証券(Mizuho Securities)香港(Hong Kong)現地法人のエコノミスト、沈建光(Shen Jianguang)氏は「1~2月の失望的な経済統計は政府の許容度の試金石となる。こうした減速ペースはこれまでほとんどない」と述べ、14年の成長率見通しを7.5%から7.3%に下方修正した。

 米バンクオブアメリカ・メリルリンチ(Bankof America Merrill Lynch)のアナリストらも、1~2月の予想以上に弱い統計を理由に成長率見通しを7.6%から7.2%に引き下げた。また米ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、第1四半期の成長率が7.5%を下回った場合、14年の成長率目標を達成できない恐れがあるとした。

 経済成長モデルを過度の投資依存型から内需主導型へ転換することを目指す中国指導部は成長鈍化を容認する姿勢を示している。全人代の閉幕後、李首相は「7.5%前後の成長率目標には柔軟性を持たせている」と説明。容認できる成長率の最低水準については、十分な雇用創出を実現できる水準でなければならないと述べるにとどめた。

UBSの香港現地法人のエコノミスト、タオ・ワン(Tao Wang)氏はレポートで、「政府は7.0%台の成長を維持する」との見方を示し、今年の成長率の下振れリスクとして、輸出回復の不確実性や信用市場の不安定さ、不動産市場の顕著な減速を挙げた。

 ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)のアナリスト、ウェイ・ヤオ(Wei Yao)氏は、「債務削減を大幅に妥協せずに経済安定化を図ることができるかどうか、新指導部は重大な試練に直面している」と述べた。(c)AFP/Fran WANG