【3月18日 AFP】米誌ニューズウィーク(Newsweek)が仮想通貨ビットコイン(Bitcoin)の考案者として報じた日系米国人のドリアン・サトシ・ナカモト(Dorian Satoshi Nakamoto)氏(64)は17日、弁護士を通じて声明を発表し、同誌の報道を初めて公式に否定した。ビットコインとは一切関係がない上、昨年には節約のために自宅のインターネット回線を解約していたと述べている。

 ナカモト氏は、ニューズウィークの取材を受けた息子から先月に話を聞くまで、ビットコインのことは聞いたこともなかったという。声明では、「私はエンジニアリングの経験がありプログラミングもできる」としつつも、「暗号やP2P(ネットワーク上の端末同士を直接接続しデータを送受信する通信方式)システム、代替通貨の知識もなければ、それらの分野の仕事をしたこともない」と述べている。この10年は世論調査員や臨時教員の仕事をしており、エンジニアやプログラマーとして本格的な仕事はしていないという。

 さらにナカモト氏は、2012年10月に前立腺の手術を受け、2013年10月には発作を起こしたため、現在は体調を回復させようとしているところだと述べ、「深刻な経済困難を理由に、2013年にはインターネット・サービスを解約した」と明らかにした。

 ナカモト氏には6人の子どもがおり、2人目の妻と別れ、現在は93歳になる母親の世話もしているという。声明は、ニューズウィークの記事によってナカモト氏とその家族は混乱し、ストレスを受けているとしている。

 ニューズウィークは、今月6日に発売した紙媒体再開第1号で、ビットコインの考案者としてナカモト氏を大きく取り上げた。同誌はその後も記事は正しいという姿勢を崩していないが、ナカモト氏が17日に出した声明への返答は、今のところ出していない。今回の声明は、ナカモト氏がこのたび新たに雇った弁護士によってAFPに転送された。(c)AFP