【3月17日 AFP】水星は、太陽の熱で灼熱と化した地殻の下では熱を失って冷えており、これが原因でごくわずかに縮小しているとの研究論文が、16日の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に掲載された。

 論文を発表した米カーネギー研究所(Carnegie Institution for Science)のポール・バーン(Paul Byrne)氏率いる惑星地質学者チームによると、水星の直径は過去38億年間で最大14キロ縮小し、現在の4800キロになったという。

 水星は地球と同様に、超高温の金属核を持つと考えられている。

 だが地球とは異なり、熱損失が地殻に及ぼす圧力に応じて振動したり押し返したり横滑りしたりする複数のプレートは存在しない。

 その代わり、水星の地殻は単一の硬い層になっているため、この圧力は惑星の表面に直接伝えられることになり、これが原因で水星は冷えるにつれて「しわが寄り」凹凸状になる。

 研究チームはこうした特徴を示す記録データを用いて、水星の「熱収縮」を測る尺度を手に入れた。熱収縮は、熱損失による縮小を表す用語だ。

 研究チームはこの痕跡を探すため、米航空宇宙局(NASA)の水星探査機メッセンジャー(MESSENGER)で記録された水星の地形データ6000件近くを詳細に調べた。

 水星全体の45%程度の画像データに基づく初期の試算では、水星は誕生以来、1.6~6キロ収縮していることが示唆されていた。

 収縮の測定の開始点は、41億年前から38億年前に及ぶ期間の太陽系の「後期重爆撃期」が終わった時点とされている。この時期、太陽系では彗星や他の氷で覆われた天体が飛び交い、誕生したばかりの惑星に衝突していた。(c)AFP