■ルーシーと同じくらい古い?

 ルーシーの化石は約300万年前のものと推定されている。しかし化石の年代推定の幅は大きい。リトルフットが見つかったスタークフォンテン洞窟は、ルーシーが見つかった東アフリカの化石出土地帯とは違って火山性堆積物がなく年代を定めるのがより困難なため、リトルフットの推定年代は150万年前から400万年前と極めて大きな幅があり、極端な推定は長年排除されてきた。

 2006年、米科学誌サイエンス(Science)に、化石周辺の石の層の化学的分析からリトルフットの推定年代を220万年前とする論文が掲載された。だが、今回の論文で仏国立予防考古学研究所(INRAP)のローラン・ブリュッセル(Laurent Bruxelles)氏とフランスと南アフリカ合同の科学調査チームは、リトルフットを包んでいた「フローストーン(流れ石)」と称される方解石の堆積物は、リトルフットの化石ものよりはるかに新しい年代の可能性があると主張している。

 身長1メートル弱のリトルフットは20メートルの洞窟に落ちて死んだと考えられている。肉食動物から逃げようとしていたのかもしれない。自然にミイラ化したリトルフットの死骸は化石になって1997年に発見されるまで、10メートル以上の堆積物や岩に埋まっていた。フローストーンはリトルフットが落ちた後で形成されたと考えられるため化石の年代はそれよりも古いはずで、フローストーンよりはるかに古い可能性もあると研究チームは考えている。

 リトルフットは発見当初330万年前という推定年代が発表され、ルーシーと同じくらい古いのではないかと注目を集めたが、その後にもっと新しいものだとする研究が発表され、進化史上の位置づけははっきりしていなかった。

 2006年にサイエンス誌に論文を発表した研究チームの1人、ロバート・クリフ(Robert Cliff)氏はAFPの取材に、石の推定年代を疑う理由はないが、化石そのものの年代を推定したわけではないので、化石と石の年代が「当時考えていたよりずっと複雑な関係にある」可能性はあると述べた。(c)AFP/Mariette LE ROUX, Laurent BANGUET