チナティ財団のロブ・ウィーナー(Rob Weiner)副所長は、「ジャッドは自分の作品の質を確信していた。彼は(作品を見に)人々が訪れるようになると分かっていた」と話す。

 だが、マーファが芸術の街として評判を呼ぶようになったのは、チナティ財団のおかげだけではない。

 ラナン基金(Lannan Foundation)は作家や詩人、エッセイストをマーファに4~6週間滞在させるプログラムを実施している。

 さらに2003年には、アートや音楽、映画のための施設「ボールルーム・マーファ(Ballroom Marfa)」がオープンした。

 ボールルーム・マーファの共同創業者、フェアファックス・ドーン(Fairfax Dorn)氏は、「世界中から人々が集まって創造的な活動を展開する場所、というアイデアが気に入った。私たちは未知の領域に挑んでいくような発想が好きだったんだ」と話す。

 ボールルーム・マーファのプロジェクトの中で最も有名なのは、エルパソ(El Paso)からハイウェー沿いに40キロほど離れた荒涼とした場所に、イタリアの高級ブランドの店舗を再現したインスタレーション作品「プラダ・マーファ(Prada Marfa)」だ。