【3月12日 AFP】内戦状態に突入してから4年目を迎えるシリアでは、国土は荒廃し、深刻な人道上の危機が生まれる中、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領の政府軍が、分裂状態にある反体制派から領土を奪還すべく攻勢を強めている。

 シリア和平に向けては米国とロシアが外交努力を続けていたが、現在両国はウクライナ危機をめぐって対立しており、進展のないまま、シリア国内の戦闘は続いている。

 シリア情勢の専門家、英エディンバラ大学(University of Edinburgh)のトマス・ピエレ(Thomas Pierret)氏は、「シリア内戦は、欧米の介入がなければ今後何年も続くだろう。しかし米大統領がバラク・オバマ(Barack Obama)氏である限り、介入は全く見込めそうにない」と指摘する。「(オバマ氏の後任選挙が行われる)2016年以降には、状況が変わるかもしれない」

 この内戦ではこれまでに14万人以上の命が奪われた上、人口の半数近くが家を追われ、今ではその多くが難民生活を余儀なくされているが、今のところ、政府と反体制派のどちらも、勝利に向けた決定的な手段は持っていないように見える。

 紛争が始まったのは2011年3月、平和的に行われていた反政権デモが、暴力で鎮圧された時だった。武器を手にした反体制派が始めた蜂起は、2012年2月に政府軍が中部ホムス(Homs)を爆撃すると、全面衝突に発展した。

 徐々に支配領域を失っていった政権側は、レバノンのイスラム教シーア(Shiite)派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)と、イラン革命防衛隊(Revolutionary Guards)の訓練を受けたイラクのシーア派戦闘員を味方につけ、2013年春に反撃を開始した。同8月には、人権活動家らが政権側の犯行と主張する化学兵器攻撃が発生し、欧米諸国が軍事介入を検討したが、それが回避されたことで、政権側は勢いづいた。

 政権側の戦略は今、「シリアの有用な部分」、つまり沿岸や、南部と北部にある主要都市、幹線道路の防衛に切り替わっている。現在反体制派の掌握範囲は政権側よりも広いが、政権側はより人口密度の高い地域を制圧している。