【3月14日 AFP】スペインの病院に入院していた患者が電子たばこの吸いすぎで肺炎を発症したと、患者の治療にあたっていた病院関係者が13日、明らかにした。電子たばこが原因で肺病になった症例は記録史上2例目だという。

 50歳男性とメディアで特定されたこの患者は、ア・コルーニャ(A Coruna)北西部にある病院に別の病気で入院していたが、入院中に肺の不調を訴えた。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたア・コルーニャ大学病院(A Coruna University Hospital)のある関係者は、「男性は、電子たばこの使用過多に起因する外因性のリポイド肺炎と診断された」と述べており、また病気の原因については、蒸気を発生させる交換式カートリッジ内の植物由来の含有物だと付け加えている。

 この関係者によると、医師らは数日前に患者を肺炎と診断し、患者に治療を施した。患者は既に退院しているという。

「電子たばこの吸引に関連する呼吸器の不調としては、今回の件は世界で2例目だ」(同関係者)

 米医学専門誌「チェスト(Chest)」の2012年4月号には、電子たばこの使用が原因で肺炎になった42歳女性の症例が記録されている。

 報告を受けた電子たばこメーカー各社は、電子たばこは本物のたばこよりもはるかに害が少なく、禁煙の助けにもなる場合もあるとして、ア・コルーニャの事例を一蹴した。

 スペイン国内の企業500社を代表する全国電子たばこ協会のアレハンドロ・ロドリゲス(Alejandro Rodriguez)副会長は、「この病気が電子たばこの使用と関連があるという証拠はどこにもない」と指摘する。

 同副会長はAFPの取材に「喫煙で毎日何人の人が死んでいるだろうか。発売されて以来の15年に、この製品によって軽い肺炎にかかった人が世界で2人だけしかいないとすれば、それに対して『よくやった』と言うべきだろう」と語った。

 電子たばこは、ニコチンを含む蒸気を発生させて吸引する電池式の機器で、蒸気はさまざまな種類の風味がある。また本物のたばこに含まれる有毒化学物質の多くは取り除かれている。

 たばこの代替品としてますます人気が高まっている電子たばこだが、人々の健康にどれほどの害をもたらす可能性があるかについては、専門家らはまだ明確な判断を下していない。(c)AFP