【3月14日 AFP】ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)暫定首相は13日、国連安全保障理事会(UN Security Council)の緊急会合で演説し、クリミア(Crimea)自治共和国の危機により、世界の核不拡散の取り組みに悪影響が出る恐れがあると警告した一方で、平和的解決の道も閉ざされたわけではないと訴えた。

 前日にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領から全面支持を取り付けたヤツェニュク氏は、英語とロシア語で行った短い演説の中で、「この対立を平和的に解決する可能性があるとまだ信じている」とした上で、「われわれはロシア連邦に対し、クリミアに展開させた軍の部隊を撤退させ、この対立に対処するため真の対話と交渉を始めるよう求める」と語った。

 同氏はまた、もしロシアが真の対話に応じないのであれば、この危機は世界全体の安全保障と核不拡散にも悪影響を与えかねないと指摘。「このような事態の後では、世界中の誰に対しても、核兵器を持たないよう説得するのは非常に難しくなるだろう」と述べた。さらに、「われわれは対話を求めている。いかなる形の軍事侵略も求めていない」と続けた。

 これに対し、同会合に出席したロシアのビタリー・チュルキン(Vitaly Churkin)国連大使は、「ロシア政府もロシア国民も戦争は求めていない。きっとウクライナ人も同じ気持ちだろう」と述べた。

 一方でチュルキン氏は、他の出席者らによるこの危機の受け止め方を厳しく批判し、ウクライナ大統領の解任は憲法違反だというロシアの主張を繰り返した。さらに、クリミアでの法の空白状態から持ち上がった住民投票を擁護し、そもそもこの投票も先月「ウクライナ政権が違憲に転覆された」結果に他ならないと述べた。(c)AFP