【3月13日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は13日、世界中の指導者たちがのどから手が出るほど欲しがり、歴代法王の多くが夢で見ることしかできなかったほどの称賛に包まれて、法王就任1周年を迎える──だが、法王の苦労はこれからだ。

 フランシスコ法王は、法王には優れた広報活動以上のものが必要だということを心得ている。聖職者による児童性的虐待やローマ法王庁(バチカン)内の腐敗と陰謀によるスキャンダルが何年も相次いだカトリック教会の改革を推進しようとする法王の前には、より大きな困難が待ち受けている。

 マイクロブログのツイッター(Twitter)を通じて神の言葉を広め、セルフィー(自分撮り写真)にポーズをとり、ホテル宿泊料を自腹で支払い、少年院の収容受刑者らの洗足式を行った。これらの行動は法王の評価を高め、就任から1年を過ぎた今、法王は謙虚で控えめ、親しみやすくモダンな人物として評判がうなぎ登りだ。

 フランシスコ法王は米誌タイム(Time)の2013年「今年の人(Person of the Year)」に選ばれ、米誌エスクァイア(Esquire)に男性ベストドレッサーに選出され、米誌ローリング・ストーン(Rolling Stone)をして「彼はロックだ」と言わしめた。教会訪問者は世界中で増加していると言われ、ローマ(Rome)への巡礼者は空前の規模にふくれあがっている。

 カトリック教会が数万人の聖職者による児童虐待を隠蔽(いんぺい)してきたとする国連(UN)の報告書も、フランシスコ法王が開放的で寛容なイメージで教会の改革を行おうとしているという印象に傷を付けることはなかった。法王就任時には、フランシスコ法王が母国アルゼンチンで1970年代の軍政に積極的に反対していたかをめぐり疑問が投げかけられたこともあったが、それも霧消してしまったようだ。

 新法王を取り巻く状況は総じて、これ以上バラ色になることはないほどだ。