■自然保護の取り組みにも

 南極には、2万年前の最後の氷河期から活動を続けている火山が少なくとも16あり、また南極の無脊椎動物種の約6割は世界の他の地域では生存が確認されていない。その大きな要因としては、それらの進化を可能にした南極の独特な環境条件にあることが推測できる。

 英南極調査所(British Antarctic SurveyBAS)のピーター・コンベイ(Peter Convey)氏は、「それらの生物が最近南極にやってきた訳ではないこと明らかだ。数百万年間そこにいたはず」と指摘。ただ「どのようにして氷河期を生き抜いたのかは、科学者らの間では長年の謎だった」と説明した。

 今回の分析を行った、オーストラリア南極局(Australian Antarctic DivisionAAD)のアレックス・テローズ(Aleks Terauds)氏によると、研究チームが火山に近づくほど、多くの生物種が見つかったという。

「この傾向は、最後の氷河期以降に生物種が生息範囲を拡大して徐々に火山地帯から外に移動したというわれわれの仮説を支持している」とテローズ氏は述べている。

 他方、研究チームのメンバーの1人、豪モナシュ大学(Monash University)のスティーブン・チョウン(Steven Chown)氏は、今回の研究が南極での自然保護の取り組みを導く助けになるかもしれないとしている。

 チョウン氏は「人為的な環境変化が南極に影響を及ぼし続けている中で、生物多様性の『ホットスポット』がどこにあるかを把握することは、それらを保護する助けになるに違いない」と述べた。(c)AFP