■火が付く日本文化ブーム

 グアナフアト州には今、約1500人の日本人が住んでいるが、2016年までに5000人に増えるだろうと州政府は予測している。そこで多くの人々が、日本人のやり方を知ろうとしている。

 ファビオラ・ゴロスティエタ・アレバロさんは昨年9月、「自己研さん日本語アカデミー」を開校した。校舎にしている3階建ての白塗りの家の中は、富士山の写真でいっぱいだ。ここで子供から大学生、ホンダの従業員、日本文化に関心のある人まで、25人の生徒が学ぶ。

「工場が操業開始すれば、日本語を学ぶことへの関心はもっと高まるだろう。今でもすでにスーパーや街中で日本人を目にして皆、日本人社会に近づきたいと思っている」とアレバロさんはいう。

 ホンダの組立工場で働く26歳のフェリペ・リベラさんは、日本語を学ぶことはキャリアアップにつながるんじゃないかと語る。「日本人の考え方を知ることに興味がある。職場では、彼らが中南米人と違う考え方をしていることが分かる。彼ら特有の性質を理解すれば、彼らともっとうまく働けるようになるだろう」

■「時間厳守」VS.「明日にしよう」

 二つの文化が混ざれば、お決まりの衝突を生み出す。日本人の時間厳守に対するこだわりと、メキシコ人の時間に対するルーズさだ。

「日本とメキシコでは違う」というマツシタ・トモカズ(34)さんは、ホンダの子会社「ホンダトレーディング」でマネジャーを務める。7か月前に妻と子供たちと一緒にメキシコへやって来た。忙しくてまだあまりメキシコを見て回れていないと断りながらも「メキシコでは、なんというか……何かを買うにしても何かを取り付けてもらうにしても、時間がかかる」と語った。

 グアナフアト州職員のロペス・サンティヤナ氏は、二つの文化はお互いに学び合っていると語る。「メキシコで私たちが使う言葉は『マニャーナ(明日)」か『アオリタ(今すぐ)』。けれど(日本人にとって)明日というのは翌日、仕事が始まって数時間のことで、『アオリタ』は本当に今すぐを意味しているということに、私たちは慣れてきた』

 メキシコ人からも日本人へのアドバイスがある。サンティヤナ氏は「私たちは彼らに、もっと柔軟になることを学んでもらっている」と語った。(c)AFP/Laurent THOMET