【3月10日 AFP】欧州のオペラ劇場で30年にわたり前衛オペラ監督として活躍したベルギー出身のジェラール・モルティエ(Gerard Mortier)氏(70)が、がんとの闘病の末、死去していたことが分かった。

 昨年9月まで同氏が総裁を務めていたスペインの首都マドリード(Madrid)にある王立劇場「テアトロ・レアル(Teatro Real)」の声明によると、モルティエ氏はブリュッセル(Brussels)の自宅で8日に死去した。

 リスクをいとわない舞台づくりと20世紀オペラへの強烈な熱意で知られるモルティエ氏は、同劇場のために、同性愛者のカウボーイを描いた短編小説「ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)」のオペラ化を米作曲家のチャールズ・ウォリネン(Charles Wuorinen)氏に委託。6年間かけて完成した同作の今年1月の初演には、病身を押して出席していた。

 ベルギーのエリオ・ディルポ(Elio Di Rupo)首相は「わが国は先見性のある、寛大な人物を失った」と追悼を述べた。

 モルティエ氏は1991年から2001年までオーストリアのザルツブルク音楽祭(Salzburg Festival)総監督に就任。04~08年には、フランスのパリ国立オペラ(Paris Opera)で総裁を務めた。(c)AFP