【3月10日 AFP】ロシア海軍が、ウクライナ南部クリミア(Crimea)半島西岸の黒海(Black Sea)につながる湖で、自国艦船3隻を意図的に沈没させたことが分かった。ウクライナ海軍の将校らは、ウクライナの軍艦の通行を妨害し、同半島に駐留する同国軍部隊の士気を下げることが狙いだと主張している。

 旧ソ連時代に製造され、2011年に退役して部品再利用のために売却される予定だった軍艦「オチャコフ(Ochakov)」は6日、クリミア半島に位置するウクライナの都市セバストポリ(Sevastopol)に駐留するロシア軍の基地から、同半島西岸にあるドヌズラフ(Donuzlav)湖と黒海とをつなぐ出入り口にえい航され、爆破された。

 沈没した同軍艦は、より小型のロシア船2隻と共に、2本の細い出洲(でず)に挟まれた狭い海域をふさぐ形になっている。

 ウクライナ海軍の戦力は限られている上、前週には、同国海軍トップに就任したばかりのデニス・ベレゾフスキー(Denis Berezovsky)司令官が親ロシアのクリミア自治共和国当局への忠誠を表明するという痛手を受けたばかりだ。

 だが、ロシアが艦船を沈没させた場所に近いウクライナ軍基地の将校らは、ロシア側の動機は明らかだとした上で、揺さぶりには屈しないと表明している。Novoozerne基地の副司令官、ビクトル・シュミガノフスキー(Viktor Shmyganovsky)大佐は、「われわれが出航できないように、(黒海への出口を)ふさいだのだ」と語った。

 シュミガノフスキー大佐によると、艦船が爆破された後、ロシア黒海艦隊(Black Sea Fleet)のアレクサンドル・ビトコ(Alexander Vitko)司令官が同基地を訪れ、ロシア側に忠誠を誓うよう要求したが、基地側はこれを拒否したという。(c)AFP/Katherine Haddon