【3月7日 AFP】太陽から遠く離れた所で小惑星が分裂するという珍しい現象を目撃したとの研究論文が6日、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に発表された。分裂の原因は、宇宙空間での激しい衝突や太陽への接近ではないという。

 論文によると、太陽から約4億8300万キロの距離にある小惑星「P/2013 R3」は、他の天体との小規模な衝突を何度も経験したことで、長い間に壊れやすくなった可能性が高い。その後、太陽光による微小な影響を受けて、回転速度が次第に速くなった結果、ついに崩壊するに至った様子を、現在天文学者らが目撃しているのだという。

 研究を率いた米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los AngelesUCLA)地球宇宙科学部のデビッド・ジューウィット(David Jewitt)教授は「この岩が崩壊するのを目の前で見られるのは、本当にすごいことだ」と語る。

 同教授によると、小惑星P/2013 R3は10個もの破片に分裂し、遠心力によって「房になったブドウのように」徐々にバラバラに引き離されているところだという。

 分裂の様子を収めた写真は、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)で撮影された。10個の破片はそれぞれ彗星に似た塵(ちり)の尾を持っており、その中で最大の破片4個は、それぞれサッカー場2つ分の大きさがある。

 P/2013 R3の分裂は昨年始まった。ハッブル望遠鏡の最新の写真により、小惑星の破片は「時速1マイル(約1.6キロ)という、人が歩くのよりも遅くゆったりとした速度で、次第に離ればなれになっている」ことが明らかになったと、UCLAのプレスリリースは述べている。

 総重量が約20万トンと推定されるこれらの破片は、流星物質の豊富な供給源となる。大半は太陽に突入するが、一部は流星として地球の空を横切るのが目撃されるかもしれないとジューウィット教授は述べている。(c)AFP