【3月6日 AFP】第86回アカデミー賞(Academy Awards)授賞式で、司会者のエレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)さんが撮影した「自分撮り」写真がマイクロブログのツイッター(Twitter)でリツイート(拡散)数の最多記録を樹立したことについて、韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は「誰にとっても驚きだった」との声明を発表した。この写真については、同社の広告戦略だったとの報道が出ていた。

 2日に米ハリウッド(Hollywood)で開催されたアカデミー賞授賞式では、司会を務めたデジェネレスさんが、サムスン製スマートフォン(多機能携帯電話)でハリウッドスターに囲まれた自分の写真を撮影し、ツイッターに投稿。この「自分撮り」写真はわずか5分足らずで10万回リツイートされ、1時間半後にはリツイート数は190万回、「お気に入り」登録数は90万回を超えた。

 その後もリツイート数は伸び続け、5日までに325万回を突破している。

 この「快挙」について米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)は、「全てが予想外の出来事だったわけではない」と報じ、サムスンがアカデミー賞授賞式の放映権を持つ米テレビ局ABCのスポンサー企業であり、ABCから2000万ドル(約20億円)でCM枠を購入していたと報じた。WSJによれば、授賞式のリハーサル中にサムスン幹部がデジェネレスさんに、同社の「ギャラクシー(Galaxy)」ブランドのスマートフォンの使い方を教えていたという。

 一方、デジェネレスさんは確かに「快挙」を達成した写真撮影にはギャラクシーのスマートフォンを使っていたが、舞台裏で投稿した他のツイートには自前のアップル(Apple)「iPhone(アイフォーン)」を使用していたとの報道もある。

 これについてサムスンは、デジェネレスさんの「自分撮り」は「誰も予想していなかったものだ」との声明を発表した。

 サムスンの声明は、「アカデミー賞スポンサーとしてもABCとの関係からみても、エレンがわが社の端末で話題の自分撮り写真を撮影したことは喜ばしい」としつつ、「誰にとっても大きな驚きだった。彼女が撮影したのは、誰も予想していなかったシーンだった」と述べている。ただ、事前に計画されていたとの指摘を完全に否定してはいない。

 大きな宣伝効果をもたらしたデジェネレスさんの「自分撮り」写真について、サムスンはまた、リツイート最多記録を塗り替えた「歴史的瞬間を記念して」デジェネレスさんが選んだ2つの慈善団体、セント・ジュード小児研究病院(St. Jude Children's Research Hospital)と米国のヒューマン・ソサエティー(Humane Society)にそれぞれ150万ドル(約1億5400万円)を寄付するとも発表している。(c)AFP