「再野生化」、スペイン自然保護の取り組み
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■野生生物の回復
スペインでは近年、「非常に興味深い野生生物の回復傾向が見られ」ており、オオカミ、ハゲワシや絶滅危惧種のスペインオオヤマネコなどの個体数も回復しつつあるとシェパースは述べる。
「再野生化」活動の狙いは、これをビジネスチャンスに変えて観光客を誘致し、放棄された農村地域の再生を図ることだ。
わずかなスタッフで運営されているカンパナリオ保護区の当面の目標は、野生生物見学の団体客の誘致を通じた地域経済の押し上げだ。
他方、スペイン北部の町ブルゴス(Burgos)近郊の自然保護区でも最近、野生のウシの群れが自然保護団体によって放牧に出されている。
ウシの放牧地は先史時代のアタプエルカ(Atapuerca)遺跡の近くにある。同遺跡では、考古学者らが100万年以上前の人骨の発掘を行っている。
■石器時代のサファリ旅行
同保護区ではまた、今後数か月の間に絶滅危惧種のヨーロッパバイソンや他品種の野生のウマを追加する計画がある。
自然保護団体は、大昔にこの地域を歩き回っていた動物の生きた子孫を見学するための「石器時代のサファリ旅行」ツアーで、観光客に同遺跡を見物させることを望んでいるという。
同保護区の野牛の専門家、フェルナンド・モーラン(Fernando Moran)氏は、「アタプエルカ遺跡には現存する生物種の祖先の骨がある。ここにいる動物はそれらの進化上の子孫だ」と語る。
アタプエルカ遺跡は、欧州再野生化イニシアチブの対象には含まれていないが、放棄された農村地域にお金と仕事を引き寄せ、同時に絶滅にひんした生物種を保護するという目的は同じだ。モーラン氏は「関係する範囲は自然保護にとどまらず、観光、地域開発、土地管理などにも及んでいる」と付け加えた。
「スペインは欧州の他の地域に比べて『野生状態』のものが豊富で、何ヘクタールもの広い土地が何もない状態で放置されている。野生動物にとってはまさに絶好の環境だ」(モーラン氏)
(c)AFP/Roland Lloyd Parry