【3月1日 AFP】ニュージーランドの売春婦(22)が勤務先の売春宿の経営者の男からセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を受けたと訴えていた問題で、同国の人権審判所は女性の主張を認め、経営者の男に2万5000ニュージーランド・ドル(約213万円)の賠償金の支払いを命じたことが1日、明らかになった。同国のメディアは、こうした判断は世界で初めてだと報じている。

 女性は約3か月間にわたって年上の経営者から軽んじられた上に恐怖感を与えられ、不安で精神的に追い詰められた状態になった。そのためうつ状態になり、アルコールに依存するようになった。経営者は自身の売春宿で働く女性たちに「自分は雇っている売春婦に何でもしたいことをできる」と繰り返し言っていたという。

 審判所は「性産業の従事者には他業種の就業者と同様に、性的嫌がらせから保護される権利がある」「売春宿の経営者や雇用者が性産業の従事者に性的嫌がらせをしてもよいということにはならない」との判断を示した。

 同国の売春婦の団体「ニュージーランド・プロスティテューツ・コレクティブ(New Zealand Prostitutes CollectiveNZPC)」のキャサリン・ヒーリー(Catherine Healy)氏はフェアファクス・ニュース(Fairfax News)に対し、「(今回の)判断は、2003年に売春を合法化したニュージーランドが性産業の従事者の人権保護の分野で世界のリーダーになったことを示すものだ」と語った。

 同氏は、「非犯罪化の一つの効果であり、性産業への従事が違法ならばあり得なかった重要な判断だ。この業界が大きく変わったことを示している」と述べて人権審判所の判断を歓迎した。(c)AFP