【2月28日 AFP】オーストリア・ドナウ(Danube)川河畔でほぼ完全な姿を残したまま発見されたローマ時代の剣闘士たちの訓練所跡が、最新技術を用いてバーチャル上で再現され、26日付の英考古学専門誌アンティクィテイ(Antiquity)に発表された。

 首都ウィーン(Vienna)に近いカルヌントゥム(Carnuntum)で2011年に発見されたこの遺跡は、空中写真測量や電磁誘導探査、地中探知レーダーといった、発掘作業を伴わない手法で遺跡の配置構造を把握し、コンピューター・グラフィックを用いて再現された。

 遺跡の調査と再現に携わったオーストリア、ベルギー、ドイツの考古学者らで構成される研究チームは、この「学校」は規模の点で、ローマ(Rome)の古代遺跡コロッセオ(Colosseum)裏にあった有名な剣闘士の訓練所「ルドゥス・マグヌス(ludus magnus)に引けを取らないと述べている。

 研究チームによると、古代ローマ帝国には100もの訓練所が存在したと考えられているが、そのほとんどは破壊されたか、建て替えられてしまったという。

 古代ローマ帝国の時代、上パンノニア(Upper Pannonia)州の州都だったカルヌントゥムは、琥珀(こはく)の重要な貿易拠点として栄えた。

 19世紀後半から20世紀前半に行われた発掘により同地では、古代ローマ帝国の軍団が駐屯した要塞や街などの遺跡群が発見されている。

 カルヌントゥムの考古学公園では現在、ハイデントーア(Heidentor)と呼ばれる有名な門の遺跡のほか、円形競技場の跡や浴場を目にすることができる。(c)AFP