【2月28日 AFP】沖合に大規模な洋上風力発電所を設置することによって、猛烈な勢力のハリケーンやサイクロンから沿岸部の都市を守れるとする米国の論文が26日、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に発表された。洋上風力発電所の存在が強風や高潮の影響を和らげるという。

 スタンフォード大学(Stanford University)のマーク・ジェイコブソン(Mark Jacobson)教授(土木・環境工学)やデラウェア大学(University of Delaware)のクリスティナ・アーチャー(Cristina Archer)准教授(地球科学)らの研究チームは、大型熱帯低気圧の被害を受けやすい都市の沖合数キロメートルの洋上に数万基の風力発電タービンを設置した場合の影響を、コンピューターで分析した。

 シミュレーションの結果、風力タービンの翼が風のエネルギーを大幅に吸収し、熱帯低気圧の内部力学に大きな変化をもたらす可能性があることが分かったという。

 ジェイコブソン教授によると、風力タービンの存在がハリケーンの外側の風力を弱め、その結果、波の高さが低くなる。これに伴い、ハリケーンの中心部に向けた空気の流れは弱まり、中心部の気圧は上昇するため、ハリケーン全体の風速は低下し、消滅までのペースが速まるのだという。

 研究チームによると、洋上風力発電所がハリケーンの猛威に対する緩衝材となり得ることを示した研究はこれが初めてという。