【2月27日 AFP】昨年7月に国際宇宙ステーション(International Space StationISS)で船外活動中だったイタリア人宇宙飛行士のヘルメットが水漏れを起こした事故について、米航空宇宙局(NASA)は26日、事故の直前にも同じ宇宙服が故障をしていたことを認めた。

 イタリア人宇宙飛行士のルカ・パルミターノ(Luca Parmitano)氏は昨年7月16日、船外活動中に宇宙服のヘルメット内に水漏れが起きるトラブルに見舞われた。パルミターノ氏のトラブルを調べていた調査チームは、この事故を米宇宙計画史上最も深刻な事故と位置づけていた。

 NASAによると、この1週間前に行われた船外活動でも同様の漏えいが発生していたが、この際、原因は飲料水の入った袋からの漏えいであると間違った診断を下していた。

 NASAは事故究明の最終報告書の中で、事故が予防可能だったことを認めた。「宇宙服は1週間前に行われたEVA(船外活動)22でも同じ故障をしていた。だが事故は適切に調査されなかった。もし調査されていたならば、1週間後に飛行士が危険にさらされることを防止できていただろう」と、オンラインで公表されたNASA報告書の要旨版で説明。さらにトラブルの原因についても「最初に宇宙服に故障が発生したときの誤診」にあったとしている。

 宇宙服の故障は、宇宙服内部の温度を調節するための装置にケイ酸アルミニウムが混入し、装置が詰まりを起こしたことが原因だった。「その詰まりによって水が適切に水分離装置へと流れることが妨げられ、水が逆流して宇宙服の空調システムの方に流れ込んだ」と調査委員会のクリス・ハンセン(Chris Hansen)委員長は述べた。だがこの混入物がどのようにして入り込んだかについてはまだ判明していないという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN