【2月25日 AFP】中国の広い範囲を暗く分厚いスモッグが6日連続で覆う中、スモッグに悩まされる首都北京(Beijing)の市民たちが、この過酷な現状にブラックユーモアで立ち向かっている。

 空気中に漂う大気汚染物質「PM2.5(微小粒子状物質)」は、肺に容易に入り込み、数十万もの人々の寿命を縮めているとされ、政府への不満の大きな要因となっている。

 インターネットの掲示板には、北京大学(Peking University)構内に設置されている、中国の代表的な政治家やスペインの作家の彫像に大気汚染対策を訴えるマスクが装着された画像がアップされたり、中国のマイクロブログ「新浪微博(Sina Weibo)」に「これは沈黙の抵抗だ!」とのコメントが投稿されたりするなど、大きな反響を呼んでいる。

■中国の大気汚染は「危機的」状況

 北京の在中米国大使館の測定によれば、PM2.5の濃度はここ数日間、1立方メートルあたり400マイクログラムを繰り返し超えているという。これは、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)が示した指針値である25マイクログラムを16倍以上も上回る数値だ。

 また、中国の公式発表によれば、北京に近い河北(Hebei)省唐山(Tangshan)では25日、1立方メートルあたり576マイクログラムという数字を記録した。

 今回のスモッグは27日まで続くとみられ、WHOの駐中国代表ベルンハルト・シュバルトランダー(Bernhard Schwartlander)氏は、25日の記者会見で「危機的な」状況であると指摘した。

 一方、中国政府は、大気汚染を引き起こす工場などを閉鎖し、さらには自動車の利用を規制する措置に乗りだしたが、専門家の多くは石炭の利用こそが大気汚染の主要因だと指摘している。(c)AFP