【2月26日 AFP】仏高級ブランドグループ「LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)」は24日、伊デザイナー・ブランド「マルコ・デ・ヴィンチェンツオ(Marco de Vincenzo)」との共同事業の立ち上げを発表した。

 LVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)CEO兼会長の娘で、近年の新ブランド取り込みにおいて陣頭指揮を執ってきたデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)氏は声明で、「この新たなパートナーシップは、若手デザイナーを支援するというLVMHのDNAに基づいている。ヴィンチェンツオ氏とともに彼のブランドをさらに発展させていくことができると確信しています」とコメントした。

 取引についての詳細な情報は、現時点ではまだ明らかになっていない。

 ヴィンチェンツオは、LVMH傘下の「フェンディ(Fendi)」でアクセサリーデザイナーとして働いた経験を持つ。LVMHについては、「私はLVMHとともに経験を重ね、その信頼にこたえようと努めてきました」とコメントしている。

 最近では、「J.W.アンダーソン(J.W. Anderson)」や「ニコラス・カークウッド(Nicholas Kirkwood)」などの英国ブランドに出資している「LVMH」。クエリイティブな才能を持ち、ブランドビジネスの成長が見込める若手デザイナーを取り込むことへの関心は大きくなっているようだ。

 他方では「グッチ(Gucci)」などを所有するライバルグループの「ケリング(Kering)」も、クリストファー・ケイン(Christopher Kane)やジョセフ・アルチュザラ(Joseph Altuzarra)といった若手デザイナーのブランドに出資している。

 ヴィンチェンツオはシチリア(Sicily)島出身。ヨーロッパ・デザイン学院(Istituto Europeo di Design)で学ぶために18歳でローマ(Rome)へと移り、2009年にミラノコレクションでデビューした。幾何学模様のデザインや素材の斬新な使い方がよく知られている。

 23日に開催されたショーでは、ルレックスと呼ばれる金属糸でできたドレスを含む新作が発表され、素材への関心が薄れていないことも確認できた。ブランドは「人によってデザインの見え方が変わるよう、見る人の目を裏切ることをモチーフとした」と述べている。

 同日のバックステージでヴィンチェンツオは「制作面では以前より楽になります。自分だけでやっているとリスクは高くなりますからね」とコメントした。(c)AFP/Dario THUBURN