【2月23日 AFP】ヒマラヤ山脈(Himalayas)の王国、ブータンは21日、日産自動車(Nissan Motor)が製造する電気自動車(EV)の「究極の展示場」となることで同社と合意し、覚書を結んだ。

 首都ティンプー(Thimphu)を訪問した日産のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)社長兼最高経営責任者(CEO)との共同記者会見でツェリン・トブゲイ(Tshering Tobgay)首相は、同国は水力発電量が多いこともあり、電気自動車は二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの目標達成の助けになると述べた。

 日産は政府公用車やタクシー向けにEV「リーフ(Leaf)」を供給する。これらの価格は公表されていない。また国民の尊敬を集める国王の誕生日に発表された今回の合意を記念して日産はリーフ2台をブータン政府に寄贈した。

 日産はティンプー全域に充電スタンドのネットワークも構築する計画だ。業界の専門家らは、電気自動車の普及にはこうしたネットワークが不可欠だと指摘している。

 ブータンには川や滝が多く、4つの主要水力発電所を合わせた発電容量は原発1基分に相当する140万キロワットに上る。発電した電力の大半をインドに販売している一方、自動車に必要な化石燃料は輸入に頼っている。

 インドと中国に間に挟まれ、「雷龍の国」とも呼ばれるブータンは、発展の指標として「国民総幸福量」(Gross National HappinessGNH)を採用していることでも知られる。GNHは、自然環境の状態や国民の心理的な幸福の度合いなどに基づいて算出される。(c)AFP/Patrice NOVOTNY