【2月22日 AFP】米フロリダ(Florida)州南部の湿地の奥深く、最も近い町から何マイルも離れた場所に、サトウキビ畑に囲まれた村、ミラクルビレッジ(Miracle Village)はある。村のそばを流れるかんがい水路は、ワニの群れでいっぱいだ。

 村の名前はのどかな田舎の保養地を連想させるものだが、パホーキー(Pahokee)そばにある、かつてプランテーション(大規模農園)だった村は今、住民のほとんどが性犯罪で刑期を務めた男たちだ。

「115~120人の性犯罪者が現在、ここに暮らしている」とミラクルビレッジの住民で事務局長を務めるパット・パワーズ(Pat Powers)さんは語る。

 がっしりとした体格の60代のパワーズさんは、16歳未満の子どもに性的いたずらをした罪で12年間服役した。現在は週に1回のセラピーを受けながら、暑さと湿気で冬でさえも天井のかびが消えることのない村の教会を維持するため、休むことなく働いている。

 1960年代までは、カリブ海から季節労働をしに来るサトウキビ労働者がこの村で暮らしていた。その後、進んだ機械化で、サトウキビ会社の必要とする労働者は減少、プランテーションは荒廃した。

 2009年にキリスト教系NPOの「マシュー25ミニストリーズ(Matthew 25 Ministries)」が、性犯罪者たちに住まいを提供するために元プランテーションを使用し始めたころ、この一帯は「どこにでもネズミがはびこる」場所だったとパワーズさんは振り返る。

 現在はよく芝が整備され、住宅は住民たちの手によってすでに改装が済んでいるか、修繕が続けられている。

「ここに暮らすことを強制されている人はいない」とパワーズさんは説明する。だが大半の住民にとっては、ミラクルビレッジが唯一の選択肢なのだ。