【2月21日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が、自分の発言に対する抗議のメールを送ってきた美術史の教員に対し、直筆の謝罪の手紙を送っていたことが明らかになった。

 オバマ大統領は先月、ウィスコンシン(Wisconsin)州の工場で経済問題について演説した際、「熟練工や商売に通じた人々は、美術史の学位を取得した人よりもずっと多くお金を稼げる可能性がある」とコメント。即座に続けて「とはいえ、美術史の学位は何も悪くない。私は美術史が大好きだ。だから、(この発言への苦情として)みんなから大量の電子メールが届くのは嫌だな」と述べ、聴衆の笑いを誘っていた。

 だが米テキサス大学オースティン校(University of Texas at Austin)で美術史を教えるアン・コリンズ・ジョンズ(Ann Collins Johns)氏は、やはり侮辱されたと感じ、米ホワイトハウス(White House)のウェブサイトを通じて苦情を申し立てた。

 その数日後、ジョンズ氏は人生で最大の驚きを体験することになった。米大統領本人から手書きの返信が届いたのだ。手紙には次のような釈明がつづられていた。

「即興のスピーチについて謝罪させてください。私は、雇用市場について言いたいことがあったのです。美術史の価値を取りざたするつもりはありませんでした」

「実際、美術史は高校時代に私が一番好きな教科の1つでした」

 ジョンズ氏宛ての大統領の直筆書簡は、ホワイトハウスのスタッフがスキャンしたものが電子メールで送られてきた後、現物が郵送で届けられた。AFPの取材に対しホワイトハウス側は大統領自身が書いたものであることを否定しなかった。

 書簡のコピーは、美術ブログ「hyperallergic.com」で公開されている。同ブログによるとジョンズ氏は、尊敬する大統領からこのような形で返事をもらったことに非常に驚いたと述べ、「今は、大統領の時間を浪費させてしまってとても申し訳なかったと思っています」と語っているという。(c)AFP